阿刀田高 文藝春秋
人生のある時、不意に甦る記憶。男の憂愁のうちに現れては消えてゆく執拗な音色。 人間の意識の精緻さが仕掛ける過去へ十篇の旅。
人生の斜面を下りはじめた男のとめどない憂愁の中に、ふと立ちあらわれる過去の記憶。遠ざかった場所から響いてくる執拗な音色。 「聖夜」「黄色い窓」「ぽっぺんを吹く女」他、日常の喧騒から曖昧に浮かぶ不思議な時を、短篇小説の名手が10篇の連作でつむぐ。耳をすますと聞こえてくる意識の底の静かな声。
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